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2014.03.16

TRASHMASTERSの「虚像の礎」を見てきました!

 今回のTRASHMASTERSの新作は「虚像の礎」。いつものように中津留章仁さんの作と演出。彼の作品は他の作品とはひと味もふた味も違う。笑いを狙うものではなく、媚びを売るものでもない。彼や彼の周りの人々が生きる世界で感じる課題を問うている。

 今回の作品もいくつかのテーマを軸に物語は展開していく。一つは「人の価値とは」という問題。一人ひとりの人間の社会に対しての価値はどのような判断基準で考えたらいいのか。劇中の行政の判断では、看護師は高く、劇作家は低い。社会的価値はその社会の必要性を数値化できるもので判断する。

 中津留さんは結構本気でこのような仕組みを考えているのかもしれないと想ってしまうが、それはないですよね。それにしても人の価値はどのような基準で誰がどのように決めていったらいいのだろうか。

 「繁栄」と「幸せ」は相関関係があるのかというテーマも繰り返し出てくる。当然、繁栄している世界の住民が、全て幸せなわけがない。必要なのは人と傷つくのを恐れず関係を取ることによって得られる心の成長。

 弱者や虐げられたものたちの怒りも表現され、その課題と解決の仕方についても触れている。劇中で、なぜ怒りが解除されていくのかは、よく分からなかったが。

 今回の劇の特徴は沈黙の時間が訪れたということ。この劇団に特徴的だった、言葉の弾丸が減り、観客が考える時間が生まれたと言うことだ。これは大きな挑戦かもしれない。

 ストーリーの展開もずっと整理されていて、すっきりテーマが伝わってくる。

 また、役者がうまい。それぞれ存在感がある。星野君は台詞が多く大変だったろうが、スマップの草薙君の演技を見るような感じ。早口はここにだけ残っていた。

 また女性陣も表情が豊かで、言葉も聞きやすい。団員以外に参加していた3人はうまかった。言葉にも演技にも感情がのっていて、見るものが同化して聞く事ができた。

 透明なドアの両側で二つの違う状況が進行する設定も観客の想像力にのっかり劇を楽しませることができたとは思う。

 私がわからなかったのは、やはり最後の場面でなぜシューはアテナーの話を受け入れたのかということ。また、同時になぜリルトンは殺すのは止めたのかということ。当然、アテナーの話を聞いてリルトンは彼女を殺すのを止めたのだがそこの理屈が頭に入ってこなかった。暴力ではその共同体や人の心を変えられない。では何だったら変えられるのか。「考えろ」とは何だったんだろう。多分、いろいろ説明が台詞と共にあったのだろうが、そこが私の中に残らなかったのはなぜか。

 言葉で解説してしまっているからなのだろうか。演技や動き、物語の流れではなく、言葉を連ねることによって表現しているからなのだろうか。言葉を演技に置き換える作業は難しいものなのでしょうね。また観客によっても思考過程が違う。予想とは違う受け止められ方もあり得る。それが演劇、小説、絵などの創造的活動の宿命なのだろう。

 でも、今回は最近の中では特に面白かった。思考することを要求された。ただ、分からない人には分からない。台詞を聞き損なうと追えなくなる。これはいつものことだが。

 前回より、台本も演出も役者も確実に進歩していた。また次の作品も必ず見に行きたい。
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