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2011.11.20

沼田まほかるの「猫鳴り」を読んだ

 「沼田まほかる」という不思議な名前の作家の作品だが、この「猫鳴り」という小説はとんでもなく重い小説。突きつけられる状況は真に迫る。「モン」という猫の登場からその死までを描いているのだが、3つの章に分かれている。

 拾われてきた最初の登場の時点から、何とも悲惨な流れが続く。初めはこんな小説読まなければよかったと思ったほど。ようやく飼われることになったときは、読み手としてもホッとした感じになる。でも、決して幸せな状況は想像できない。

 二章も愉快な状況ではない。自分の置かれた環境に絶望した小説家の息子が、その絶望的な状況の中でもがき苦しむ状況の中に、大きく膨れ上がった「モン」が交差するように物語の中を横切る。少年は、彼の直面している絶望とは一生折り合えないだろうということを予想させて、そのまま第二部は終わる。

 第三章は、この小説の山場。猫の死の場面。老いていく猫、そして飼い主の男。徹底したリアリズムの世界で、その死を正面から描く。飼い主がその後直面するだろう死への旅路も猫の生きざまと重なる。

 この作者、本当は猫が大好きなんだろうと思う。これだけ冷静に滅びていく命を見ることができる人もなかなかいないだろう。その裏にある命への限りなく熱い思いも。

 かなり年配の作家だが、とんでもない実力の持ち主であることは間違いない。ただ、読後感が爽やかとは言えないし、誰にでもお勧めしたくなる本ではない。読者を選ぶ本ですね。

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