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2011.07.18

恩田陸の「チョコレートコスモス」を読んだ

 恩田陸さんは、独特の小説を書く。今回のテーマは、演劇。しかもオーディションを中心として。演技を言葉で表現し、それを読む者に伝えようというのだから、大変なことだ。有川浩さんのシアターシリーズも楽しかったが、これはさらに演劇論まで成熟させている。

 ただ、完成版ではないような気もする。これはシリーズになるかもしれない。でも、小説にするにはかなり難しいテーマだと思う。私も演劇は好きで時々見るのだけれど、良し悪しはなかなか決められない。台本にもよるし、役者にもよる。演出も、照明も、音響も大切だ。総合力が問われる。チームワークも必要だ。それを小説にするなんて、恩田さんの課題に挑戦する気持ちもすごい。

 内容としては、響子のプロとしての演劇人の執念、思いがとても強く伝わってきた。その人間が浮かび上がり、顔が見えてくるようだ。佐々木飛鳥という駆け出しの天才的な新人役者も魅力的。どんな素晴らしい演技をするか胸をワクワクさせて読んだ。

 ただ、演劇を小説で表すことはできない。あの劇場の雰囲気をすべて表すことなんかできない。でも、それをわかっていてこの小説を書くんだから・・・。そして、読者をひきつけるのだから・・・。小説を書く人の心意気に感動してしまう。

 ミステリーを超える面白さ。演劇好きの人にだけではなく、全ての読者にお勧めの本ですね。
 

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