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2011.06.12

朝倉かすみの「田村はまだか」を読んだ

 朝倉かすみの「田村はまだか」を読んだ。クラス会の後に5人の仲間が飲みながら田村を待っている。店のマスターを含めた彼らの人生が短いエピソードの中で展開される。

 最初に田村が存在感を示したセリフ。後で奥さんになる女の子の「いつか絶対、みんな死んでしまう!」という叫びに対し、「どうせ死ぬから、今、生きているんじゃないか。」と彼が答える。

 私が子どものころに思ったことと同じ。

 私は小学生の高学年の頃、自分が死ぬことが恐ろしくて仕方がなかった。伝記を読んでいても、小説を読んでいても、「死」という言葉が出てくると予想されるページは読まなかった。夜には夢でもその恐れが出てきた。高いところから落ちる夢・・・鍵裂きになる無意味な線・・・追いつめられる夢。小学生としてはつらかったのだと思う。誰にも相談しなかったし、相談しようとも思わなかった。きっと誰もが同じ思いを持っているのだとも思った。

 折り合いをつけたのが、この考え方。

「必ず、私は死ぬ。だからこそ、今、この時が、この人生が大切なんじゃないか。」
 こう思って死からの恐怖をある程度乗り越えたときは中学生になっていた。

 この後も人生や人間はどう生きるべきなのかということ考え続けた。読んだ本が、ヘッセ、ニーチェ、カミュ、カフカ、ゲーテ、孔子関係、仏教関係など、海外の本。なぜか当時は海外の方が優れていると思い込んでいたので。

 その後、漱石や川端、谷崎、三島、藤村、中原中也、宮沢賢治などの日本文学を読み、その文章の素晴らしさに仰天したのだが・・・。

 「田村はまだか」の中には、人生を考えさせてくれる言葉がたくさん出ている。そこを面白がる人とそうではない人がいるのかもしれない。書評は分かれている。でも、私は読んでいて面白いなと思った。

 人が普通に生きている時に出会う場面の中にあらわれる自分の思いと実態の微妙なズレに思わずニヤリとするような内容。さて、皆さんはどう思いますか?


  

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コメント

 この小説も面白いですが、音鉄という人生も面白そうですね。私の友人が旅好きで毎週のように出かけていきます。それも私が想像がつかないようなルートや方法で。計画する段階でワクワクするだろうと思います。私も旅行は好きですが、そこまでは・・・。

投稿: take | 2011.06.26 00:40

読み終わりました。登場人物のそれぞれの話も面白かったし、最後が特によかったです。
この小説は字数が少なくて、速く読めますね。こういう終わり方、好きです。

投稿: MICKEY♪ | 2011.06.17 22:19

今日は1年4か月ぶりに「大回り」をしてきました。私は『音鉄』です♪
今日の旅のお供は『田村まだか』でした。
電車の窓すれすれに木々が並んだ中を八高線は通り抜けて行きます。川越線から見える風景はどこまでも広い田園地帯です。

新宿からわずか2時間弱離れただけで、私にとってこんな現実離れしたところがあって、時々乗り降りする部活ユニフォーム姿のままの中高生を見ながら『田村はまだか』のあのキィワードを考えていました。
頭の中が整理されて、良い一日になりました★

投稿: MICKEY♪ | 2011.06.15 21:21

 私の中身は小学生からそう変わってはいません。基本的に臆病で、気が弱くて・・・。 でも、それだからこの仕事に向いていたのかなとも思いますが。
 今日は腰が痛いし、肘もテニスのやりすぎでサポーターを巻いています。もう若くはありませんね。

投稿: take | 2011.06.15 00:01

読んでみたくなるようにtakeさんが感想を書かれているので、さっそく図書館に行ってみますね(#^.^#)

小学生のころ、すでにそういうことを考えていらっしゃったとはおとなびていらっしゃいましたね。
その甲斐あってか、現在は若々しい!!

投稿: MICKEY♪ | 2011.06.13 14:15

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