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2011.06.14

川上弘美の「風花」を読んだ

 川上弘美の風花。何とも空気感というか、その主人公たちを取り巻く状況が抑制された表現と彼らの行動によって表現されている。そう、存在そのものがこの小説によって表されている感じ。

 実際の自分とはかなり違う生き方をしている人たちだが、「のゆり」の悲しみとそれでもしなやかに生き続ける「のゆり」の生が私に乗り移る。

 この本を読んでいる時、私は悲しかった。何でこんな生き方しかできないんだろうか。なぜ、はっきりと選択し、次に踏み出せないのだろうかと思った。でも、私も以前こんな狭間に落ち込んだときがあったような気もする。

 忘れたのだ。このような苦しい思い出は自分の心からは排除しなければならなかったのだ。だから、この本を読んだとき、苦しかったのだ。でも、次第に強く生きる「のゆり」。赤信号を渡り切ってしまう「のゆり」。そこに女性の強さを感じた。男はいつも中途半端。私もまだこれほど強くは生きられない。きっと、これからも。

 この川上弘美という作家。私が今まで彼女の本を読んだことがなかったのが残念。これから、もう少し彼女の作品を読んでみよう。

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コメント

川上弘美さんの文体と雰囲気は好きですね。ただ、私自身の生き方とは違う。男と女の違いだけではないですね。ただ、私は自分が選択したことは後悔しない。取り返すことのできないことは悩みません。
 最近は推理小説の謎解きより、この小説のような人の生き方そのものに関心が移りました。相変わらず乱読ですが。

投稿: take | 2011.06.26 00:51

この作品は娘が留学中に読んで勧められたので、私も現地滞在中に読みました。

「のゆり」は同性からは最も嫌われるタイプ。ドラマチックなストーリーが好きな人には好まれない小説でしたね。イライラするとか、はっきりしてよ!と言いたくなる読者は多いでしょうけれど、私はこのたゆたうような川上さんの文章の表現がとても気に入って、最後までふわふわといい気分だったのです。
男性が読むとどう思うのかな、と興味深かったです。

投稿: MICKEY♪ | 2011.06.15 21:33

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