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2011.04.16

通尾秀介の「カササギたちの四季」を読んだ

 通尾秀介さんの小説は、幅が広い。ミステリー作家とは言えないのかもしれない。今回の「カササギたちの四季」はミステリー仕立てではあるが、殺人事件や恐ろしい場面があるわけではない。

 思いこみの強いリサイクルショップの店長、「華沙々木(かささぎ)」と副店長である主人公の「日暮」、そして華沙々木のファンである中学生の「菜美」の物語。カササギは事件を解決したと思いこみ、真実とは違う自分のストーリーを組み立てる。「日暮」は、彼の間違った推測を真実のものとして塗り替える。「菜美」が寄せるカササギへの信頼を裏切らないようにするために。

 途中で、「菜美」は、カササギの思いこみと「日暮」の懸命の裏工作に気がついているような作者からの投げかけも物語に深みを与えている。そう、「菜美」は真実に気づいているのだろう。
 お互いに、深く傷ついた経験から、相手への深い思いやりに満ちている。

 今まで読んだ「ラットマン」や「シャドー」、「ソロモンの犬」、「向日葵の咲かない夏」、「片目の猿」などの内容とは趣が違う。直木賞の受賞作である、「月と蟹」とも違う軽さがある。全体として「菜美」の悲しみが裏に流れてはいるが、それは通常意識されることはない。「日暮」が今の「菜美」のことを女性として意識しているわけでもないのだろう。では、日暮が懸命に真実を塗り替える動機は?

 思いやり・・・、それとも優しさ・・・、それとも友情・・・?

 人は自分に対してイメージをもっている。アイデンティティなどともいうものか。それを裏切りたくないという感覚に近いのか。

 また、人は真実を塗り替えても守るべき事があるということか。その感覚はわからないでもない。ただ、自分の生きてきた方向とは少し違う。

 しかし、通尾秀介という作家の幅広さを十分感じさせる内容だった。


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投稿: 藍色 | 2012.11.02 15:38

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開店して2年。店員は2人。「リサイクルショップ・カササギ」は、赤字経営を2年継続中の、ちいさな店だ。店長の華沙々木は、謎めいた事件があると、商売そっちのけで首を突っ込みたがるし、副店長の日暮は、...... [続きを読む]

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