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2011.03.20

伊坂幸太郎の「終末のフール」を読み終わった

 伊坂幸太郎の本は例外なく面白い。この本も面白かった。隕石落下まであと3年という舞台で、登場人物たちがどのように生きようとするのか、それぞれの短編の中で、様々な人間模様交差する。

 ミステリーではないものを書いてくれと頼まれて作った作品だそうだ。短編の登場人物を互いに絡ませるのは得意な方法。短編を長編化していく手法が見事なものだ。

 人は死ぬことが前提。その上で、普段は意識せずに生きている。隕石により設定された時間の中で、死を意識した生が展開される。人はどう生きるのだろうか。伊坂さんはそれを考えた。

 多分、普通の人たちは、あがきながらも、少しでも生き続けようとし続ける。その瞬間には、慌てふためき、阿鼻叫喚の中でも、生を求め続けるだろう。悟りきって穏やかに死を迎える訳ではない。でも、どこかでそれも充実した生だったと思う自分がいるはずだ。たとえ死を迎えようとも、精一杯、生ききる、その中に価値がある・・・そう思わなければやっていられない。

 今回の大津波と原発の問題とこの小説の状況が重なり、つらくて先を読むのが珍しく遅くなった。ただ、震災にあわれた方々も、物語の登場人物たちの様に、淡々と生き続けていくのだろう。大騒ぎをすることなく、悲しみに耐え、少しずつ前に進んでいくのだろう。パニックも起こさず、商店も略奪せず、避難所でもお互いの事を考えながら助け合い、穏やかに思いやりを持って生きていく。

 お互いにできることをやるしかない。それぞれの場所で、それぞれの仕事を。


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コメント

 伊坂さんの作品は若さを感じます。どう生きるのか真摯に考えている。その雰囲気がどの作品からも伝わってきます。今回の地震に負けず、仙台からまた発信してほしいですね。

投稿: take | 2011.03.21 11:37

おっしゃるとおり!伊坂作品に、はずれはないですよね。私が一番好きなのは「死神の精度」です。映画バージョンも大好きです。これも生きることは死に向かっていることだからこそ、精一杯生きることの大切さが描かれていましたね。「週末のフール」読んでみたくなりました。いつも面白いものを紹介して下ってありがとうございます(^0_0^)

投稿: mickey♪s | 2011.03.20 23:59

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