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2011.01.30

宮部みゆきの「火車」を読んだ

 作家としてあまりにも有名な宮部みゆき。ちょっと避けていたのだが、今回93年の作品、「火車」を読んでみた。

 女性の失踪事件を休職中の刑事が追うというストーリー。派手なアクションがあるわけでもなく、目の前で誰かが殺されるわけでもない。一人の女性がなぜ失踪しなければならなかったのか、彼女の置かれた状況を刑事の目線で明らかにしていく。

 複雑な構成があるわけではないが、時代の問題を上手に取り込みながら物語が展開されていく。裏の主人公である失踪女性の心情が切々と伝わってくる物語。

 ただ、前に読んだルームメートと同様、少し前の時代の物語。多くの状況が現在ではありえない。ローンによる取り立てなど、現状とは少し違っている。家電も携帯もパソコンも会社の状況も、本当に大きく変わった。経済問題や社会問題を入れた小説は時代によって変質する部分がありますね。

 巻末に佐高信さんが解説を書いている。彼はこの作品で直木賞受賞間違いなしと思ったそうだが、99年の「理由」まで待たされることになる。やはりこの作家はただごとではない。あまり予断を持たずに素直に作品を選んでみよう。

火車 (新潮文庫)

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