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2010.11.29

伊坂幸太郎の「チルドレン」を読んだ

 伊坂幸太郎は時間軸をずらしたり、語り手を変えたりしながら、一つの物語を他の物語とリンクさせていくのが得意。この短編集、「チルドレン」も短編小説なのだが、一つのまとまりを持った小説。長編小説として楽しむことができる。彼のこの手法は、長編小説のところでも生かされている。

 「陣内」という個性的な登場人物を軸に、ほんの些細な事柄の中にあるズレや殺人などではないチョットした事件を丁寧に描いている。家裁の調査官という仕事の中にある人の様々な思いを描き、人間の一つの生き方を表現している。彼はミステリーという形を取りながら、まるで創造主のように人間を作り上げていく。

 でも、この物語の中には一貫して人としての優しさが表現されている。だから、読んでいて嬉しくなるし、楽しくなる。読後感がいい。その意味で、彼の小説は時代の要請なのかもしれない。

 荒んだ世の中、激烈な競争、どうせやっても無駄だと思う無力感。そんなものを前提とした上で、しなやかに生き続ける一つのモデル。路線から外れた一風変わった登場人物は、私たちへの応援歌と言っても良いのかもしれない。

 また、次の作品を読みたくなる作家。

チルドレン (講談社文庫)

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