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2010.10.24

伊坂幸太郎の「重力ピエロ」を読んだ

 今、私のお気に入りの作家、伊坂幸太郎の03年の作品、「重力ピエロ」を読んだ。2000年にデビューしたのだから、初期の作品と言えよう。この作品は直木賞の候補になった。その後も何度かノミネートされながらまだ受賞はしていない。ただ、十分その価値はある作品だ。

 彼の作品には、様々な主張が隠されている。ミステリー仕立ての中で、彼の人生観やものの見方が散りばめられている。

 例えば、「人間が遺伝子に操られ、言いなりになっているのは不愉快」とか、「言い訳や説明が必要なのは、物事に対して後ろめたさがある場合だ」、「神様に聞いたら、『自分で考えろ』って声が聞こえた」、「多数決と法律は、重要なことに限って、役立たずなんだ」、「人は目に見えるもので簡単に騙される。一番大事なものは目に見えない」、「シャガールの絵は、私たちが後生大事に抱えているものを、もしくは愚かにも信じ切っているものを、平然と笑い飛ばしているのだ。例えば-重力とか。」

 そして、印象的な言葉・・・「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」、「死が敗北だと誰が決めた?」。これは、歳をとるとそう思えるものなのだが、作者の若さを考えるとちょっと驚異的。

 この物語の中で、家族の絆や人の生死について、さりげなく作者の思いが語られる。放火事件や殺人事件の筋立ての中で、暖かい家族の姿が伝わってくる。深刻な人生の中で、ひるむことなく生き抜くユーモアに満ちた家族の姿。

 この作品もお薦めですね。また、次の作品を読みたくなった。
重力ピエロ
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映画「重力ピエロ」photo book

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コメント

 井坂幸太郎という人が持っているセンスの良さが充分感じられる作品だと思います。彼がこの震災で無事だったといわれていますが、本人からの発信がないことが心配です。次の作品に注目しています。

投稿: take | 2011.05.07 20:51

「春が二階から落ちてきた。」この冒頭の一文でやられてしまいました。
重いテーマを軽快にユーモアたっぷりに描けるのがこの作家の特徴ですね。『ふつう』でない家族の深い愛を感じました。

そして、473ページ読み終わった最後の文もまた「春が二階から落ちてきた。」でした。読んでよかったなぁ・・・。

投稿: MICKEY♪ | 2011.05.07 00:26

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