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2010.08.10

湊 かなえさんの「告白」を読んだ

 カナダ旅行中に2冊の本を読んだ。一冊はこの湊かなえさんの「告白」。読み始めて初めて知ったのだが、何とも辛い物語。旅行の雰囲気と合わない。でも、内容はかなり衝撃的で、続けて読みたくなってしまう。飛行機の中や夜、寝る前に読み進めた。

 第一章の「聖職者」で小説推理新人賞を受賞した。これがデビュー作だそうだ。この後、小説推理に第三章まで書き進め、その後、第六章まで追加し、一冊の本として出版した。そして2009年の本屋大賞を受賞。デビュー作でここまでくるなんて、素晴らしい。

 それは一つの事を様々な人物の立場から描き、その状況を立体的に浮かび上がらせる手法の面白さもあったと思う。しかし、何より彼女の持っている人物を見るときの視点、このとんでもない冷徹さが一種のショックを与えるのだと思う。そこまでやりますか、というのが正直な所。誰もが恐ろしい。誰もが善意の人で普通の人なんだろうけれど、恐ろしい。私たちの心の中に、こんな思いが浮かぶことはあるだろうけれど、誰もが実際の行動には移さない。その揺らめきを残酷なまでに冷静に書き留めている。

 この本には様々な問題が含まれている。エイズの人たちには差別を生みそうな内容も書かれている。だから映画ではその設定を変えたのだろう。また、復讐の内容への是非もあるだろう。しかし、それらを超えて、人の心の中のとんでもない恐ろしさを、ジワジワと感じさせる。一冊の本として、謎解きの面白さもある。やはり、読む価値のある本の一つなんだろう。

 でも、正直、復讐が終わったときに、やっとやり遂げた事への爽快感が自分の中にあったのには驚いた。映画「告白」は思わぬヒットになっているそうだ。松たか子の主演での演技、見てみたくなるな。

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» 湊かなえ『告白』 [itchy1976の日記]
告白湊 かなえ双葉社このアイテムの詳細を見る 今回は、湊かなえ『告白』を紹介します。デビュー作の割には読ませる文章力があるし、第1章の衝撃の告白「愛美は事故で死んだのではなく、このクラスの生徒に殺されたのです。」以降どうなるのかなと思いながら読むことができました。主人公は加害者A,Bを観察し続けたといっても良いでしょう。それで、反省しているかどうか、罪の重さを感じ取ることが出来たかどうかを監視続けた。 章ごとに語り手が違います。担任の教師(被害者)や加害者A,Bやクラスメートの美月やBの姉(ほと... [続きを読む]

受信: 2010.08.14 14:56

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